暦年贈与と相続時精算課税の使い分け
暦年贈与と相続時精算課税の使い分け
2024年の税制改正により、これら2つの制度の「境界線」が大きく変わりました。2026年現在の視点で、どちらを選ぶべきかの判断基準を整理します。
1. 比較表:2つの制度の決定的な違い
| 項目 | 暦年贈与(従来型) | 相続時精算課税(新制度) |
|---|---|---|
| 基礎控除(非課税) | 年110万円 | 年110万円(2024年新設) |
| 相続発生時の加算 | 亡くなる前7年分を加算 | 基礎控除(110万円)分は加算不要 |
| 申告の要否 | 110万円以下なら不要 | 最初の1回は必ず届出が必要 |
| 贈与できる人 | 誰でもOK | 60歳以上の父母・祖父母から |
| もらう人 | 誰でもOK | 18歳以上の子・孫 |
2. どちらを選ぶべきか?の判断基準
「相続時精算課税」を選んだ方がいいケース
2024年以降、この制度のメリットが飛躍的に高まりました。
- 少額をコツコツ贈与したい場合
新設された「年110万円の基礎控除」枠内で贈与すれば、亡くなる直前の贈与であっても相続財産に加算されません。 暦年贈与の「7年前まで遡る」ルールを回避できるため、高齢の方や健康に不安がある場合でも確実な節税になります。 - 値上がりが予想される財産(土地・株)を渡したい場合
相続時には「贈与した時点の時価」で計算されます。将来価値が上がる資産を早めに渡すことで、相続税を抑えられます。 - 収益を生む物件(賃貸不動産など)を渡したい場合
贈与後の賃料収入は「もらった人」の資産になるため、親の相続財産が増えるのを防げます。
「暦年贈与」を選んだ方がいいケース
自由度と「完全に財産を切り離す」力が魅力です。
- 孫や子の配偶者に贈与したい場合
相続人ではない孫などへの贈与は、原則として「7年以内の持ち戻し(加算)」の対象外です(遺贈を受ける場合を除く)。 - 多額の資産を短期間で移したい場合
110万円を超える贈与税を払ってでも、将来の相続税率より低い税率で多くの資産を移転させたい場合に有効です。 - まだ制度を固定したくない場合
一度「相続時精算課税」を選択すると、その贈与者からの贈与について二度と暦年贈与に戻せません。
3. 2026年時点の「必勝パターン」
現在、多くの方が採用しているのは「相続時精算課税の110万円控除」をベースにする方法です。
- 父母それぞれから子へ: 相続時精算課税を選択し、毎年110万円ずつ(計220万円)を無税で、かつ相続時の加算なしで移転させる。
- 孫へ: 暦年贈与を使い、持ち戻しを気にせず教育資金などをサポートする。
注意点:未登記建物などの「現物」を贈与する場合
もし建物などの不動産を贈与(名義変更)する場合は、贈与税だけでなく「登録免許税」や「不動産取得税」がかかります。これらは相続で引き継ぐよりも税率が高いため、あえて贈与せず、相続まで待って「小規模宅地等の特例」などを適用した方が有利なケースも多いです。
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